第1話
コンピュータメーカーに勤める志方恭一郎(遠藤憲一)は、中学2年生の息子・恭介(渡邉蒼)の家庭内暴力に頭を悩ませていた。恭介は、シングルマザー八巻はつみ(田中美里)の息子・満(清水大登)と親友で、満とは心を許し合っていた。ある日、得意先となんとか結んだ契約を会社上層部の横暴によりつぶされ、荒れて深酒して帰宅した志方に、妻・雪子(田中美佐子)が思いつめた顔で告げる。「恭介がまだ帰らないのよ」まもなく警察から、信じがたい知らせがもたらされる。志方の、悪夢の日々の始まりであった――。
第2話
息子・恭介(渡邉蒼)を殺したのが同級生の八巻満(清水大登)であること、法律上まだ13歳の満は犯罪者にはならないということを知り、激怒する志方(遠藤憲一)。出版社のすすめで怒りの手記を出すが、少年を殺意むき出しで激しく糾弾する内容に世間から猛烈なバッシングが巻き起こる。一方、満の母・はつみ(田中美里)は志方家に謝罪したいと申し出るが、満の弁護士・若菜(内田滋)に「その必要はない」と止められる。警察は、高城秀子(黛英里佳)という女性に対する暴行事件にも満の関与を疑うが・・・。
第3話
八巻満(清水大登)の少年院送致が決まった。しかし、被害者の父である志方(遠藤憲一)は、過激な発言のせいで裁判の傍聴すら許可されなかった。なぜ息子・恭介(渡邉蒼)は殺されたのか、犯人の満はどこの少年院へ送られるのか、全く情報は無い。感情のやり場のない志方は、事件の担当弁護士・若菜(内田滋)のもとへ押しかける、とそこへやってきたのは加害者の母・八巻はつみ(田中美里)。憎しみに燃える志方は人ごみに紛れ、土砂降りの中家路へ急ぐはつみの後をつける。俺はお前を絶対に許さない。
第4話
はつみ(田中美里)が勤めるスナックに素性を隠して訪れた志方(遠藤憲一)だったが、明るく振る舞う中に見せる陰りに、苦悩や悲しみを感じ、何も告げられぬまま立ち去る。雪子(田中美佐子)は「あの家族にはもう関わらないで」と言うのだが・・・。会社に出た志方を待っていたのは、思いがけない部署への異動の辞令だった。まるで懲罰人事だ。志方の鬱屈は募る。一方はつみは、少年院の満(清水大登)の面会に赴くが、坊主頭で礼儀正しく挨拶をする満に他人のように冷たく言われる。「もう僕の面会には来ないで」
第5話
志方(遠藤憲一)ははつみ(田中美里)に心惹かれてしまい、自分は恭介の父親だと打ち明けられず苦悩していた。一方、志方家では長女・真弓の結婚話が復活したことで久しぶりに家族に笑顔が戻り、仕事上でも新たなプロジェクトに抜擢され、悪いこと続きだった志方の日常は変わり始めていた。しかし、ついに妻・雪子(田中美佐子)にはつみとの関係を知られてしまう。「あの女は誰?」「言えるような相手じゃない・・・」さらに、はつみにも偽名を使っていることが露見してしまう。「あなたは一体誰なんですか!?」「俺は・・・君の息子が殺した志方恭介の父親だ」
第6話
志方(遠藤憲一)の前で、ついにはつみ(田中美里)と雪子(田中美佐子)が対峙する。心から謝罪するはつみだったが、雪子は「一生罪を背負って苦しんで下さい」と突き放す。雪子は娘を連れて実家へ帰り、志方は1人になった。もはや何もかも取り返しがつかないのだ。そんな中、志方は新プロジェクトの担当に抜擢され新潟に赴任することに。はつみに連絡するが、電話は着信拒否となっていて店ももう辞めたと知らされる。志方は傷心のまま単身新潟に旅立ち・・・。
第7話
満(清水大登)が少年院を退院した。志方(遠藤憲一)は平静ではいられずにいた。はつみ(田中美里)と3人、この先うまくやっていけるのか?本当に満を許してしまっていいのか?ぎこちなくそれでも懸命に満と接し始める志方。週刊誌にはつみとの関係を暴露され会社をクビになり、家族とも訣別した志方に残された道は、もはやはつみと満と生きること以外ないのだ。満は、謝罪のために雪子(田中美佐子)ら家族を訪ねる。雪子が冷徹に問いただす。「なぜ恭介を殺したの?あなたの口から聞きたい」
第8話
志方(遠藤憲一)は満(清水大登)の父親になり切れず悩んでいた。実の母親であるはつみ(田中美里)と3人で生きていこうと心に決めてはいたのだが、少年院を退院して以来、世間の好奇の目にさらされ続ける満の心はふさぎ込むばかりだった。ついに、志方を父親として受け入れられない満は、包丁を持ち出し母親・はつみに突きつける。「母さん!アイツと別れて!僕と二人で暮らして!」少年犯罪の加害者家族と被害者家族――心に断崖を抱える者たちのそれぞれの生き方は・・・?
出典:FOD