愛なんていらねえよ、夏

多くの参列者が並ぶ盛大な葬儀場｡最前列に座る鷹園亜子(広末涼子)の顔は､無表情にまっすぐ前を向いている｡壇上には亜子の父･鷹園俊介の遺影が｡仕事に追われ､亜子に愛情を注ぐことのないまま不慮の事故で他界したのだった｡
一方､新宿で風雲児と呼ばれる白鳥レイジ(渡部篤郎)は､自分と金だけを信じ歌舞伎町でのし上がってきた｡だがある日､レイジは横領教唆の疑いで逮捕されてしまう｡半年後に出所するが､店は人手に渡り､7億円以上の借金だけが残った｡返済を迫られたレイジは､世話係だった男･礼慈(荒川良々)が資産家の息子と知り､遺産を手に入れようと画策する｡

レイジ(渡部篤郎)は､亜子(広末涼子)の実兄･礼慈になりすまし､芥川奈留(藤原竜也)と共に鷹園家を訪れた｡亜子が盲目と知ったレイジは､うまく騙せるとほくそ笑む｡誰も本当の礼慈の顔を知らないからだ｡亜子の世話役･中田咲子(坂口良子)も､亜子の婚約者･五十嵐彰(鈴木一真)もレイジを礼慈だと信じ込んでいた｡
ある日､鷹園家にレイジの仲間､季理子(西山繭子)がやって来た｡庭に植える花を沢山運んできたのだ｡太陽の下で土のぬくもりを感じることが大切だと言うレイジは､強引に亜子を庭に連れ出し…｡

レイジ(渡部篤郎)は､亜子(広末涼子)を海に連れて行った｡その帰り道､亜子から涙ながらに｢私を殺して｣と言われたレイジは言葉を失う｡
海への散歩以来､亜子はレイジに心を開きつつあった｡しかし､そんな矢先､亜子は親友･伊藤楓(松尾玲央)から､レイジが喫茶店で友達らしき人と話をしていたと聞かされる｡亜子は､レイジへの不信感から再び心を閉ざしてしまう｡

レイジ(渡部篤郎)と奈留(藤原竜也)は､東京に買い物に行く亜子(広末涼子)と楓(松尾玲央)を車で送る｡しかし､レイジの本当の目的は､亜子が1人になるチャンスをうかがう事だった｡亜子を殺して10億の遺産を手に入れなければ､レイジの命がないからだ｡しかし､亜子の婚約者･五十嵐(鈴木一真)の出現で計画は中断させられる｡亜子は五十嵐の誘いを受け､2人で食事をすることに｡
数日後､亜子は､先日楓と行った街へ1人で出掛ける｡レイジと奈留は慌てて後を追うが…｡

救急病院に運ばれた亜子(広末涼子)は､脳腫瘍であと半年の命と診断される｡咲子(坂口良子)たちは再度検査を受けるよう手配するが､レイジ(渡部篤郎)は亜子の目を見えなくさせた主治医･今野(大高洋夫)に不信感をあらわにする｡
そんな中､亜子はレイジへの誕生日プレゼントに､喫茶店｢ナイル｣に連れて行く｡亜子は楽しげだが､レイジは店主･永岡明良(野沢’毛ガニ’秀行)に幼少時代の話をされ…｡

死ぬのが怖い､生きたいと言う亜子(広末涼子)に対し､レイジ(渡部篤郎)は｢苦しみから救ってやる｣と伝える｡そして､レイジは亜子に失くしたスーパーボールと一緒にお守りを渡す｡しかしその”お守り”とは､奈留(藤原竜也)がタクロー(森本レオ)から買った､死に至るほど強い睡眠薬だった｡
そんな中､咲子(坂口良子)と五十嵐(鈴木一真)､真壁(半海一晃)は､レイジの言動に不信感を抱きつつあった｡五十嵐は､レイジの目的が何なのかを確かめてみるが…｡

咲子(坂口良子)が極秘で処分し続けていた礼慈(荒川良々)からの手紙を､亜子(広末涼子)が1通だけ持っていることが発覚｡手紙の内容を知らないレイジ(渡部篤郎)は正体がばれるのを恐れ､奈留(藤原竜也)に手紙を探すよう命じる｡
その後､レイジは内緒でウエダタクロー(森本レオ)を訪ね､亜子の命を救って欲しいと懇願｡そんな中､亜子が五十嵐(鈴木一真)からのプロポーズを受けると言い出す｡亜子はウエディングドレスの試着のためにレイジと結婚式場へ向かうが…｡

レイジ(渡部篤郎)と亜子(広末涼子)は西新宿病院を訪れた｡ここには須之内(石田えり)という裏の世界では有名な腕利きの医者がいるのだ｡
須之内は､亜子の元主治医･今野(大高洋夫)から預かったカルテとレントゲン写真をもとに､亜子の診察を始めた｡ところが､それらのカルテとレントゲン写真は､改ざんされている可能性があるという｡不審に思ったレイジは､亜子を奈留(藤原竜也)に任せて今野を訪ね､そこで驚くべき事実を知る｡

鷹園家を出たレイジ(渡部篤郎)は､奈留(藤原竜也)と再び新宿･歌舞伎町でホスト業を始めた｡以前のように巧みな話術で荒稼ぎするのだった｡一方､ひとりになった亜子(広末涼子)は､須之内(石田えり)から手術の説明を受け､着々と準備をしていた｡
借金返済期限が迫る中､レイジは新宿から姿を消した｡彼は亜子と離れたことで大切さを知り､亜子を海が見えるホテルへ連れて行く｡そこで2人は｢嘘をつくお芝居をしよう｣と言って､本当のことを言い合いながら抱き合うのだった｡

レイジ(渡部篤郎)に命を救われた亜子(広末涼子)は､手術を受ける決意を固める｡一方､レイジは借金の残り分を稼ぐために裏カジノで勝負に臨もうとしていた｡だが､その相手は､レイジに失望し憧れが憎しみに変わった奈留(藤原竜也)だった｡
亜子の手術は無事成功｡しかし､レイジは奈留に刺されて重傷を負う｡それから数日後､亜子は視力を取り戻すが､目の前にレイジの姿はなく…｡