タイヨウのうた

湘南のとある街に暮らす藤代孝治(山田孝之)は､人生の目的を見つけられずに漫然と日々を過ごしていた｡ 一方､XP(色素性乾皮症)という難病を抱える少女･雨音薫(沢尻エリカ)は､歌手志望のストリートミュージシャン｡シンガーソングライター･橘麻美(松下奈緒)に憧れている｡
そんな中､薫の親友･松前美咲(佐藤めぐみ)が､昼間の世界を見せてあげようとビデオを撮ってきてくれた｡薫は､その映像の片隅に映っていた孝治の姿に釘付けになる｡
ある夜､薫が駅前で橘麻美の曲を弾き語りをしていると､孝治と出会った｡運命だと思った薫は､思い切って孝治に話しかけるが･･･｡

路上で歌っていた薫(沢尻エリカ)は酔っ払いに絡まれ､孝治(山田孝之)に助けられる｡逃げる際に切れてしまったギターの弦を､手際よく張り替えてやる孝治｡そんな孝治に､薫は次第に惹かれていくのだった｡
一方､いいアルバイトが見つからずに困っている孝治､親友の大西雄太(田中圭)､加藤晴男(濱田岳)たち｡民宿兼･海の家｢みうら｣の主人･三浦修(竹中直人)からうちで働かないかと誘われるが､安いアルバイト代でこき使われボロボロに｡孝治たちは､親友･立浪隆介(川村陽介)に誘われてホストクラブで働くことになり･･･｡

薫(沢尻エリカ)は､隆介(川村陽介)と音信不通になった美咲(佐藤めぐみ)を心配する｡孝治(山田孝之)に､隆介を遊園地に連れてきてもらって美咲と会わせるよう提案する薫｡
孝治､隆介､薫､美咲の4人で行く計画のはずが､雄太(田中圭)や晴男(濱田岳)､そして海の家のアルバイト仲間･三浦結子(小林麻央)､エミリー(ベッキー)まで参加することに｡
一方､麻美(松下奈緒)は音楽プロデューサー･工藤洋平(要 潤)から､麻美の書く歌詞についてある指摘をされ･･･｡

遊園地で観覧車に閉じ込められた一件以来､薫(沢尻エリカ)は部屋に引きこもるように｡自主制作のCDや美咲(佐藤めぐみ)が撮ってきてくれたビデオも処分し､公園での弾き語りも辞めてしまう｡孝治(山田孝之)への思いを断ち切るようにアルバイトに精を出す薫を気の毒に思った父･謙(勝村政信)は､孝治に会うため｢みうら｣を訪れる｡謙は､薫を助けてくれたお礼を言うとともに､薫の誕生日会に来てほしいと頭を下げる｡薫の最後の誕生日になるかもしれないという謙に､孝治は･･･｡

薫(沢尻エリカ)の曲を聞き直した音楽プロデューサーの工藤(要 潤)から｢改めて会いたい｣と連絡が入り､薫はその喜びを真っ先に孝治(山田孝之)に伝える｡しかし､孝治は､工藤が薫を麻美(松下奈緒)のゴーストライターにしようとしていることを知る｡
孝治は､薫に内緒で工藤に会い､｢ゴーストライターとしてではなく､薫自身を見てあげて欲しい｣と土下座して訴えるが､工藤は耳を貸さず､ゴーストライターの話は白紙に戻ってしまった｡しかし､薫は､孝治が自分のために工藤に会いに行ってくれたことを嬉しく思うのだった｡

左手が思うように動かなくなってしまった薫(沢尻エリカ)｡孝治(山田孝之)が弾くギターでストリートライブを行い､歌うことの楽しさを改めて実感する｡孝治も､一度は捨てたギターの楽しさに目覚めるのだった｡
孝治に感化された雄太(田中圭)､晴男(濱田岳)､隆介(川村陽介)は､それぞれ､キーボード､ドラム､ベースに挑戦する｡バンドを組んで江ノ島のバンドフェスティバルに応募しようというのだが･･･｡

傷害事件を起こして少年院に入っていた過去を薫(沢尻エリカ)に知られてしまった孝治(山田孝之)｡麻美(松下奈緒)を守るために起こした事件だったと､薫に告白する｡一方､過去を隠して嘘の人生を生きられない､と頼ってくる麻美のことも放っておけず､孝治は麻美を抱き締めてしまう｡
自分は薫のそばにいる資格はないと考えた孝治は､アルバイトもバンドも辞めて姿を消す｡孝治を待ちながらバンドフェスティバルに向けて練習を続ける雄太(田中圭)､晴男(濱田岳)､隆介(川村陽介)たちだったが･･･｡

バンドフェスティバルで改めて音楽の楽しさに目覚めた薫(沢尻エリカ)たちは､バンド｢ムーンチャイルド｣を続けることを決意｡そんなある日､麻美(松下奈緒)の失踪で窮地に追い込まれた工藤(要 潤)が､薫のもとへやって来る｡｢ムーンチャイルド｣をプロデュースさせてほしいと言う工藤だが､薫はその申し出を断ってしまう｡
工藤からその話を聞いた孝治(山田孝之)は､薫がデビューの話を断ったのは､工藤が麻美のプロデューサーだからなのではないかと思う｡しかし､｢余命の短い自分のために皆を巻き込みたくない｣という薫の気持ちを察した孝治は･･･｡

薫(沢尻エリカ)と孝治(山田孝之)と麻美(松下奈緒)が三角関係だという記事が週刊誌に載り､薫がXP患者であることも公になってしまう｡マスコミが雨音家に殺到し､部屋に閉じこもる薫のもとに､孝治がこっそり訪ねてくる｡お互いを心配しているが､多くを語らず､見つめあうだけで心が通じ合う2人だった｡
このスキャンダルを受け､工藤(要潤)から｢デビューの話はなかったことにさせてほしい｣と告げられる薫｡めげずに曲作りをしようとしていた薫は愕然とする｡
薫から事情を聞いた孝治は､雄太(田中圭)たちを連れて工藤のもとへ行くが･･･｡

薫(沢尻エリカ)は呼吸障害に陥り､手術をしないと命にかかわると診断される｡手術をすると歌えなくなると知った薫は迷っていた｡そんな中､工藤(要潤)が病室に現れる｡麻美(松下奈緒)からの提案で､麻美のコンサートで｢ムーンチャイルド｣を初披露したいと告げられるのだった｡
デビューの夢を叶えて死ぬか､夢を諦めて生きるかの二者択一を迫られた薫｡孝治(山田孝之)に｢歌いたい｣と正直な気持ちを伝えるのだが･･･｡