今日の一冊#5「焚き火と道具」 猪野 正哉著

今日の一冊#5「焚き火と道具」	猪野 正哉著

今日の一冊、第5回目の今回は焚き火マイスターの称号を持つ猪野 正哉さんの「焚き火と道具」です。2019年には「マツコの知らない世界」にも焚き火の世界の名人として登場しました。


火を扱うという行為は人間だけが行う神秘的なものだと昔から言われてきました。


自然の中で利用するものではあるものの、動物は調理をしませんし、暖をとったり、煙を利用して虫を避けたりなど基本的にはしません。


「火」というものは自然界で「人間が」生きていくために、必要不可欠なもので、大自然の中にいても、火があるところには必ず人間がいて、ないところには野生動物しかいないときっぱり分かるくらい、象徴的なものです。


ディズニーの名作「ジャングル・ブック」でも、火は「赤い花」と動物たちから称され、触るものすべてを焼き尽くしてしまう、人間が扱う魔法のようなものとして、描かれていました。


その火を起こして、人間がその周りを囲む「焚き火」という行為には不思議な力があります。


この本の中で猪野さんは焚き火は単なる行為ではなくて、炎を目の前にすると、人は自然となんでもカミングアウトしてしまいたくなり、何か大事な話があったとしても、相手の目を見ず、お互いに炎だけ見て語り合うことが出来る「コミュニケーションツール」だと語っています。


そして、その「コミュニケーションツール」である「焚き火」に鉄のフライパンがあれば、肉が焼け、他の食材があれば調理が出来て、美味しいものを次々と人に生み出すことが出来る優れもの。


そう考えてみると、焚き火ってただ火を起こして、その前に座る以上の物凄い力を持っていることがよく分かります。


人によってコミュニケーションの癖や好みが違うように、焚き火の仕方も人によって違って良いものです。


着火剤を使って簡単に火を起こしても良いし、

フェザースティックを作って火を起こすところから始めても良い。

まさに、ダイバーシティです。


この本には猪野さんがこれまでに大切に扱ってきた道具やそれにまつわるストーリーであったり、猪野さんの本音溢れるド直球な楽しい注釈があり、読み応え抜群です。


この本を手に取り、今度のまとまった休みに「焚き火」をしませんか?

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