都心から車で1時間で非日常を味わう「滝と廃墟」鳩ノ巣渓谷
非日常の必要性について
日常とは何でしょうか。
私は「日常」とは、一般的な日々の生活や、日常的な出来事や状況の総称なのではないかと考えています。そして日常とは、個人や社会における日々の暮らしや活動のことを指し、その内容や特徴は、人や時代によって異なるものであると言えます。
それでは「非日常」とは何を指すのでしょうか。
「非」とついているので、日常の反対ということになります。普段東京の都心部に住んでいる私にとっての非日常は山の中や、ビーチ沿いのカフェ、渓谷のような場所自体やそこに行く、何かを感じるという行為は私にとっての非日常となります。
非日常体験をすると視野が広がり、日常をとても豊かにできるという効能があります。
普段あまり映画を見ない人からすれば、週末に銀座の奥でしか公開されていないフランス映画を見に足を運んだり、普段聴かないジャンルの音楽のライブに友人を誘って行ってみるという行為が非日常体験になり、日常に戻ってしばらくその余韻に浸ったりする時間に価値が生まれます。
映画を見るにしても、音楽を聴くにしても、絶妙に自分のコンフォートゾーンから出ているものの、なんともいえない刺激を求めた行為に上質な非日常を感じることが出来ます。
それではあなたの非日常体験として、滝を見に行くのと、2000年頃まで営業していた温泉旅館の廃墟を見学するというのはいかがでしょうか。
中央道で都心から約1時間「双龍の滝」
中央道の下り線へは高井戸では入り口が無いので、永福まで甲州街道を新宿方面に進み、Uターンする形で中央道の下り線へ。八王子から圏央道に乗って日の出ICで高速を出て、そこから一般道で40分程度走ると、鳩ノ巣渓谷に行き着きます。意外にも電車でのアクセスの方が都心からだと便利な場所で、JR青梅線の鳩ノ巣駅から徒歩5分です。
車を鳩ノ巣駐車場に停めて、道路を渡り、看板のそばにあるちょっと急な階段を降りていくと、行き着きます。双龍の滝。そうりゅうのたきと読みます。二つの滝が並んで流れ落ちる美しい滝です。その名の通り、二つの滝が龍に見立てられており、上部の滝が「東龍の滝」、下部の滝が「西龍の滝」と呼ばれています。東龍の滝は落差約25メートル、西龍の滝は落差約20メートルで、共に豪快な水しぶきが飛び散り、迫力ある景色を見ることができます。
また、双龍の滝周辺には、奥多摩の自然を楽しめるハイキングコースが整備されており、森林浴を楽しみながら滝までのトレッキングができます。特に、秋の紅葉シーズンには、滝と紅葉が美しいコントラストを作り出し、多くの人々が訪れます。
2000年まで営業していた温泉旅「鳩和荘」と食事処「一心亭」
双竜の滝を見に行こうとすると、意図せぬ形で廃墟を訪れることができます。
廃墟というと、わざわざ廃墟マニアを名乗るような人物が行く場所をイメージしがちですが、ここは肩透かしを食らったかのように自然に現れます。私が人生で初めて最も接近した廃墟がこの温泉旅館「鳩和荘」でした。
立ち入り禁止のロープがあちらこちらに張り巡らせれていて、中に入ることは出来ませんが、とても気になり色々と調べてみると、1970年代に立てられた温泉旅館のようで、2000年頃までは電話帳に電話番号が記載されていたようで、廃墟の状態になって約20年ほどのようです。
ここの少し先に同じような使われていない建物で、かつてはレストランだった場所があります。こちらは別の場所で一心亭という名前を引き継いで営業しているようです。
昔は賑わっていた場所、昭和から平成の時間がそこで固まって、令和のこの時代まで止まったまま。止まってしまった人を自分だけが動ける状態で確認をしているかのような、なんともいえない体験です。このなんともいえない気持ちを近くを流れる滝の音があるお陰で、冷静さを維持出来ているような気がしてくるそんな場所です。
まわりは時間の流れが非常にゆっくり流れている風景
ここの周りを少し歩いてみると住宅街が現れます。ここで暮らす人々がいて、彼らにとってはこの場所がかけがえのない「日常」なのです。奥多摩のとても素敵な自然に囲まれて。
ここまでの体験をして、都心にまた車を走らせて戻っていく。
日帰りで十分に堪能できる非日常体験でした。