日常を脱出し、自分自身と向き合う。3時間から始める、自然との対話。
下北沢でキャンプ場のようなカフェを営む津久井です。普段はキャンプ初心者の方に向けて情報を発信していますが、今日は少し視点を変えて、「キャンプ」という言葉を、もっと広義に捉えた話をしたいと思います。
私が好きな言葉に「デザイン」があります。デザインとは何かと問われた時、多くの人は見た目の美しさや格好良さを思い浮かべるかもしれません。しかし、私が考えるデザインとは、問題を解決するための手法です。例えば、椅子のデザインは、人が安全に座るという問題を解決するために生まれました。
同じように、「キャンプ」もまた、私たちが抱える問題を解決するためのデザインだと考えています。では、キャンプが解決する問題とは何でしょうか。
テントを張り、火を熾し、食事を作る。確かに、それもキャンプの醍醐味の一つです。しかし、私たちが本当に求めているのは、日常では味わえない非日常感、心の解放ではないでしょうか。忙しい毎日、溜まったストレス、凝り固まった思考。そんな状態では、せっかくのキャンプも準備だけで疲れてしまうかもしれません。
そこで私が提案したいのは、3時間から始める「自然との対話」です。道具は何もいりません。必要なのは、自然を感じたいという気持ちだけ。
おすすめは、都内から車で1時間の「払沢の滝」です。私が世田谷の自宅から足繁く通う、知る人ぞ知る癒しのスポット。中央道を走り、八王子ジャンクションから圏央道へ。日の出インターで降り、一般道を武蔵五日市駅方面へ。そこから20分ほど車を走らせると、駐車場が現れます。
駐車場から遊歩道を15分ほど歩くと、目の前に現れるのは、落差約60mの雄大な滝。そして冬には、その姿は一変します。まるで時間が止まったかのように、滝全体が荘厳な氷の芸術へと姿を変えるのです。
冷たい空気が滝の水しぶきを瞬時に凍らせ、巨大な氷の彫刻を創り出します。光を浴びてキラキラと輝く氷の壁、静寂を切り裂くかのように凍り付いた滝の流れ。それはまさに、自然が創り出した神秘的な光景です。
滝の音が凍りつき、静寂に包まれた空間。普段の喧騒を忘れ、ただただ目の前の光景に息をのむ。そんな特別な体験が、ここ払沢の滝では冬に訪れると体験できるのです。
滝の前でただただ佇む。時には目を閉じ、自然の音に耳を澄ませてみてください。鳥のさえずり、風の音、木々のざわめき。五感を通して自然を感じていると、心が満たされていくのを感じるはずです。
悩みや不安も、いつもとは違う景色の中で考えれば、新しい解決策が見つかるかもしれません。日常からほんの少し離れ、自然の中で過ごす時間。それは、私たちに癒やしと活力を与えてくれます。
キャンプは、もっと自由で、もっと身近なものです。準備に手間暇かける本格的なキャンプも魅力的ですが、もっと気軽に自然に触れるだけでも、十分にリフレッシュ効果は得られます。
普段、家で過ごす休日も良いですが、3時間だけ時間を作って、自然の中に身を置いてみてください。車を走らせ、滝まで歩き、自然の中で深呼吸をする。たったそれだけのことで、驚くほど心が軽くなります。
キャンプが好きな人は、きっと自然の中で過ごす時間を大切にしているはずです。道具を揃え、準備をする。それもまたキャンプの楽しみ方の一つですが、根底にあるのは、日常から離れ、リフレッシュしたいという気持ちではないでしょうか。
もしあなたが、最近疲れ気味だなと感じているなら、ぜひ一度、払沢の滝を訪れてみてください。特に冬の凍りついた滝は、言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれるはずです。3時間で、心と体が驚くほどリフレッシュするでしょう。
今回の話が、あなたの日常に少しでも彩りを添えることができれば幸いです。
Share:
WAITER-U RADIO #4「キャンプの食料は現地調達でいいんじゃないですか?」
WAITER-U RADIO #6「引き続き、3時間で滝を見に行きませんか?」