今日のプレイリスト#35「Sony Rollins (ソニー・ロリンズ)」

今日のプレイリスト#35「Sony Rollins (ソニー・ロリンズ)」

今日のプレイリスト。35回目の今回は「Sony Rollins (ソニー・ロリンズ)」です。


下北沢で行きつけにしているレコード屋さん「フラッシュ・ディスク・ランチ」で購入しました。


このお店は、私が世田谷に住み始めて間もないころからずっと通っているレコード屋で、お店がある限り有効なポイントカードは、50スタンプ貯まると15,000円以下のレコードを何枚買っても半額というやばいシステムが人気のお店です。


ソニー・ロリンズ:ジャズの巨人、その軌跡と哲学

ジャズ界に燦然と輝くサックスの巨星、ソニー・ロリンズ。彼の奏でる力強く、時に繊細な音色は、聴く者の心を揺さぶり、ジャズの歴史に深く刻まれています。彼の音楽は、単なる音の連なりではなく、人生の苦悩と喜び、そしてたゆまぬ探求心から生まれた魂の叫びと言えるでしょう。

若き日の情熱と苦悩:ニューヨークから世界へ

1930年、ニューヨークのハーレムに生まれたロリンズは、幼少期から音楽に親しみ、10代でプロの道を歩み始めます。1949年には、弱冠19歳で初の自作曲「Audobon」をレコーディングし、その才能の片鱗を覗かせました。1950年代初頭には、伝説のトランペッター、マイルス・デイヴィスとの共演を通じて、その革新的な音楽性に大きく影響を受けます。この時期に生まれた「オレオ」は、後にジャズのスタンダードナンバーとなり、彼の作曲家としての才能も開花させました。

しかし、若きロリンズはヘロイン中毒という闇を抱え、その闘いは彼の音楽人生に大きな影を落とすことになります。1950年には、薬物購入のための強盗で逮捕され、服役。その後も度重なる逮捕とリハビリを繰り返すなど、苦難の道を歩むことになります。

サキソフォン・コロッサス:名声を確立し、そして突然の引退

1956年、アルバム『サキソフォン・コロッサス』で、ロリンズの音楽は新たな次元へと到達します。このアルバムは、彼の代表作の一つであり、ジャズのスタンダードナンバーとして愛される「セント・トーマス」も収録されています。カリプソのリズムを取り入れたこの曲は、彼の音楽的ルーツであるカリブ海の影響を感じさせます。その後も『ウェイ・アウト・ウエスト』や『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』など、数々の名盤を生み出し、ジャズ界の頂点に君臨したロリンズ。しかし、名声を得たにも関わらず、1959年、突如引退を宣言し、音楽界に衝撃を与えます。

この突然の引退は、彼自身の演奏に満足できなくなったこと、そして、商業主義に走るジャズ界への失望などが理由として挙げられています。ロリンズは、自分自身を見つめ直し、音楽と向き合うために、一度立ち止まることを選んだのです。

復活と新たな挑戦:ラテンのリズムとフリージャズの融合

2年の沈黙を破り、1961年に活動を再開したロリンズは、新たな音楽的挑戦を始めます。ラテン音楽のリズムを取り入れた『ホワッツ・ニュー』や、フリージャズの要素を取り入れた『アワ・マン・イン・ジャズ』など、従来のジャズの枠にとらわれない斬新なサウンドを展開。特に『アワ・マン・イン・ジャズ』では、サックス、ベース、ドラムというシンプルなトリオ編成でありながら、インプロヴィゼーション(即興演奏)を駆使し、自由奔放な音楽を創造しました。

1963年には初来日を果たし、そのエネルギッシュな演奏と、モヒカン刈りの風貌で日本のファンを熱狂させました。この来日公演は、彼にとって新たなインスピレーションの源となり、後の音楽活動にも大きな影響を与えました。

さらなる進化と音楽への探求:ロックとの融合、そして無伴奏ソロ

1970年代に入ると、エレクトリック・ジャズに挑戦し、1981年にはローリング・ストーンズのアルバム『刺青の男』に参加。ミック・ジャガーやキース・リチャーズらと共演し、ジャズとロックの融合を試みました。このコラボレーションは、彼の音楽の幅広さと、ジャンルを超えた音楽への探求心を示しています。

1985年には、ニューヨーク近代美術館で1時間近くにわたる無伴奏サックス・ソロを披露。その演奏は、彼の音楽的探求心の深さを改めて世に知らしめました。一切の伴奏を排し、サックスの音色だけで空間を満たすその演奏は、聴く者を圧倒し、音楽の無限の可能性を感じさせます。

9.11、そして新たな章へ:音楽の力で希望を

2001年9月11日、アメリカ同時多発テロを目撃したロリンズは、深い悲しみと衝撃を受けながらも、音楽の力で人々を励まそうと決意します。テロからわずか数日後にはボストンでの公演を敢行し、音楽の素晴らしさ、そして希望の大切さを訴えました。この時の演奏は、後にライブアルバム『ウィザウト・ア・ソング (9.11コンサート)』としてリリースされ、多くの人々に感動を与えました。

音楽と哲学の融合:禅とヨガが生み出す音の世界

ロリンズは、音楽だけでなく、東洋哲学にも造詣が深く、禅やヨガを日々の生活に取り入れています。特に呼吸法は、彼のサックス演奏にも大きな影響を与えており、その深く、長いブレスは、彼の音楽の特徴の一つとなっています。音楽と哲学の融合は、彼の演奏に深みと奥行きを与え、唯一無二のサウンドを生み出していると言えるでしょう。

終わりなき探求:ジャズという宇宙を旅する

ソニー・ロリンズの音楽は、ジャズというジャンルを超越した普遍的な魅力を持っています。それは、彼が人生を通して探求し続けた音楽への情熱と、人間としての深みから生まれたものと言えるでしょう。彼の音楽は、これからも多くの人々に感動と希望を与え続け、ジャズの歴史に燦然と輝き続けることでしょう。


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Spotifyでプレイリストも作ってますので、よかったらキャンプに行く車の中ででも聴いてみてください。

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